横溝正史シリーズ第二弾、客演も前回の「八つ墓村」と揃えてきたので、トール鉄さんをお誘いしていってきました。平日だったけど大入りですね。今回は5列目と役者の表情をはっきり見られる席でした。
まず下地となる舞台装置がド迫力で素晴らしかったです。120°ごとに回転してステージが入れ替わるセット、花道のある前進座劇場をふんだんに用いた立体的な演出、そして随所で活かされる照明技術の見事さときたらもう。骨太な悲劇を彩るに相応しい本格的な舞台です。
そんな迫力いっぱいのステージで繰り広げられる、役者の演技も鬼気迫るもの。妖艶な姉の三石さん、儚げで芯のある妹の沢城さん、影のある使用人の小西さん、死人ながら生きて恐怖を振りまく井上さんと、主軸は完璧。特に三石さんは、八つ墓村で魅せた清楚な美しさから一転、生足や濡れ場まで披露するエロス全開の艶。素晴らしい御御足お芝居を魅せてくれます。
沢城さんの表情をはっきり見られたのも僥倖でした。全開は舞台全体を見渡す位置だったので、こんなにも舞台映えする方だったとは。
ちょっと間抜けな警部をコミカルに演じた辻親八さん、幕間の引き継ぎと終劇の余韻を絶妙に引き立てる、Y先生役の中博史さんも、脇を固める布陣として万全。辻親八さんなど、目をつぶるとマイアミにいるようですよ。あと関さん、ビールっ腹が衣装の上からもはっきり判るように…w
物語はミステリ的な面白味もさることながら、近親姦による愛憎渦巻く悲劇、人間味あふれる物語を楽しみました。
椿子爵は本当に死んだのか? 美禰子がこの家の人間と結婚してはいけない理由は? 悪魔の紋章を含めた問題は、丁寧に謎解きの伏線が用意されているので、判りやすいものでしたが、小西さんによる回想と懺悔のシーンは圧巻の一言に尽きます。愛と憎しみの果てにあるもの、快楽と苦しみの間にあるもの、人間の奥底にある美しくも醜い本質を、舞台というもので表現した。そんな舞台をどっぷり浸かり、堪能しました。終演後に「お金掛かるんすよ…」と、関さんが苦笑されていましたが、横溝シリーズはまた是非とも見たいものです。
あと、もしDVDで見る機会があったら、最初の占いの部屋の後ろをチェックしておきたいところw
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